プレスリリース / 調査・研究
1万6千件の採用面接録画データのAI解析に基づく「採用面接における就活ハラスメントの実態調査2026」を発表〜2026年度のリスク検知面接率は10.66%、高リスク面接率は1.44%、セクハラに加え、健康状態や家庭環境への詮索なども検知〜
2026年09月30日
ZENKIGENは、「採用面接における就活ハラスメントの実態調査2026」を発表いたします。
2026年10月1日から、改正男女雇用機会均等法により、求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置が、すべての企業に義務付けられます。本調査は、この制度改正も見据え、セクシュアルハラスメントに限らず、採用面接の中で「就活ハラスメント」につながるリスクのある発言が、どの程度、どのように生じているのかを明らかにすることを目的に実施しました。
調査では、「harutaka」が保有する1,000社以上、約1,500万件のオンライン面接動画の中で、2021年4月1日から2026年8月24日までに実施された録画データから、年度別に業界のバランスを考慮してランダムに抽出した16,337件を解析しました。自社開発した就活ハラスメントを検知するAI(「harutaka セーフティ」)を用い、面接官の発言について、前後の会話の文脈も踏まえてハラスメントにつながるリスクを検知しています。
本調査では、セクハラ(セクシュアルハラスメント)やオワハラ(就活終われハラスメント)だけでなく、家庭環境や健康状態への詮索、属性による決めつけなども対象とし、ハラスメントへの該当の明確さに応じた「高リスク」「中リスク」の区分ごとに集計しました。
「高リスク」は、精神科の通院歴を直接問う、家庭環境を採否の判断材料とする、容姿を採否の基準とするなど、ハラスメント該当が明確な発言です。「中リスク」は、業務と関係なく健康状態や家族構成を尋ねる、応募者の容姿に言及するなど、該当のおそれがある発言です。なお、本調査が示すのは、面接を単位としたAIによるリスクの検知割合であり、ハラスメントの法的な認定や、応募者本人の被害経験率を示すものではありません。
■調査結果① 年度ごとのハラスメント検知率
年度ごとの数値に継続的な低下は見られず
2026年度の解析対象における中リスク面接率は10.66%、高リスク面接率は1.44%でした。前年度の2025年度は、それぞれ10.43%、1.28%であり、2026年度はいずれも前年度を上回る値となりました。
2021年度から2026年度までの推移を見ると、中リスク面接率は9.54~10.66%と、おおむね1割の水準で推移しています。一方、高リスク面接率は2021年度の0.67%から2026年度の1.44%へと、今回の年度ごとの集計ではやや上昇傾向にありました。
■調査結果② 就活ハラスメントの種類ごとの集計
中・高リスクともに「健康状態の詮索」が最も高い割合。家庭環境への詮索や属性による決めつけも検知
種類ごとでは、厚生労働省が「公正な採用選考の基本」で就職差別につながるおそれがあるとして配慮を求めている事項(本籍・出生地、家庭環境、思想・信条に関することなど)を踏まえ、これに近年問題となっているオワハラ、セクハラ、パワハラ(パワーハラスメント)を加えた区分で集計しました。
中リスク面接率が最も高かったのは「健康状態の詮索」の3.72%で、次いで「家庭環境・生い立ちの詮索」が3.27%、「セクハラ」が2.43%でした。また、「属性による決めつけ」は1.39%、「パワハラ」は1.35%でした。
高リスク面接率も「健康状態の詮索」が0.53%と最も高く、次いで「セクハラ」が0.31%、「家庭環境・生い立ちの詮索」が0.24%でした。性的な言動だけでなく、応募者の健康状態や家庭環境など、私的な情報に踏み込む発言も検知されています。
リスクが検知された主な発言例
以下に、リスクが検知された発言の主な例を示します。リスクの判定には前後の会話の文脈も含まれるため、記載した言葉だけをもって、一律にハラスメントに該当すると判断するものではありません。
セクハラ関連の発言例:
(高リスク)
「カメラ越しに全身を映して」「腕を見せて」と、応募者の身体的特徴を確認しようとする。
「彼氏とはどれくらい付き合っているの?」と、交際状況について執拗に尋ねる。
「見た目は女性だけど、中身は男っぽいのかな?」と、性別に関する固定的なイメージを応募者に当てはめる。
「〇〇(地域)の女の子は言葉が汚いからね」と、地域と性別を結び付けた侮辱的な発言をする。
(中リスク)
「結婚の予定はありますか?」と、結婚などのライフイベントについて尋ねる。
「持ち家ですか?」「一人暮らしですか?」と、応募者の住環境について尋ねる。
面接官自身の恋愛に関する話題を持ち出し、応募者に恋人がいるかどうかを間接的に尋ねる。
健康状態の詮索の発言例:
(高リスク)
応募者に対して一方的に「発達障害のグレーゾーン」である可能性を示唆し、医療機関の受診を勧める。
血液感染症の有無を尋ねる。
心理カウンセリングを受けた経験があるかを尋ねる。
「通院している」という応募者の回答に対し、「診断名は何だったのか」「どんな薬を飲んでいるのか」と、診断や服薬の詳細を問い詰める。
(中リスク)
「大きな病気をしたことはありますか?」「体力には自信がありますか?」と、業務上の必要性を超えて健康状態を確認する。
「メンタルは強い方ですか?」「不安を感じて眠れなくなったりすることはないですか?」と、精神面の強さや、不安による睡眠への影響について尋ねる。
「女性が多い職場なので、生理痛がひどいとか、婦人科に通っているとか、配慮が必要なことはありますか?」と、配慮の必要性を確認する際に、生理痛や婦人科への通院に関する情報を尋ねる。
属性による決めつけの発言例:
(高リスク)
特定の国籍と性別を結び付けて「すぐに辞める」と一般化し、応募者の評価に影響させる。
応募者の経歴に対して「○○(スポーツ名)やっている男ってろくなのいない」と、特定のスポーツ経験を持つ男性をひとくくりにして否定する。
(中リスク)
「日本人の血を継いでいる」という血統を理由に、応募者の価値観や好みを決めつけて会話を進める。
自社の仕事を紹介する際に、「女性の方が向いている仕事」「女性の方が優れている」と、性別によって適性や能力を一般化し、女性応募者にアピールする。
■調査結果③ 業界ごとの就活ハラスメント検知率
面接回数に対する高リスク面接率は、サービス業が3.44%。業界によって違い
業界ごとでは、高リスク面接率が最も高かったのは「サービス業(他に分類されないもの)」の3.44%で、次いで「医療、福祉」が2.22%、「金融業、保険業」が1.43%でした。
中リスク面接率も「サービス業(他に分類されないもの)」が12.15%と最も高く、次いで「医療、福祉」が10.86%、「宿泊業、飲食サービス業」が10.55%でした。今回の解析対象では、中リスク面接率・高リスク面接率のいずれも、業界によって違いが見られました。
※複数の業界に紐付く企業の面接は、該当する各業界に含めています。各業界内では面接IDの重複を除き、当該業界の解析対象面接数に占める、リスクが検知された面接数の割合を算出しています。
■研究員コメント:ハラスメント防止と、応募者を惹きつける対話の両立に向けて
2024年10月に、厚生労働省の審議会で就活生等に対するセクハラ防止措置の義務化が検討課題として示されるなど、「就活ハラスメント」への対応が既に社会的に問われていました。 しかし、今回の年度ごとの結果では、中リスク面接率がおおむね1割で推移する一方、高リスク面接率は2021年度の0.67%から2026年度の1.44%へと上昇していました。面接官への教育・周知を徹底するとともに、応募者が安心して利用できる相談窓口の整備や、プライバシーに配慮した面接のモニタリングを通じて、問題を早期に把握し、対応できる体制を構築することが求められます。
種類ごとの結果で注目したいのは、中リスク面接率が「健康状態の詮索」で3.72%、「家庭環境・生い立ちの詮索」で3.27%と、「就活セクハラ」の2.43%を上回っていたことです。 就活ハラスメント対策を、露骨な性的言動や威圧的な態度だけの問題として捉えず、応募者を理解するために行っている質問の内容や、私的な情報への踏み込み方にも目を向ける必要があると考えます。
「相手のことをよく知りたい」「場を和ませたい」「入社後に配慮したい」という意図があったとしても、質問の内容や踏み込み方によっては、応募者の私生活や健康状態への過度な詮索につながり得ます。面接官に悪意がないことと、その質問が適切であることは、分けて考える必要があります。 自分がどのようなつもりで質問したかだけでなく、応募者の立場から、その質問に答えることがどのような意味や負担を持つのかを考えることが大切です。
企業には、面接官個人の良識や注意力だけに依存せず、「この質問は、職務に関わる何を確認するためのものか」を明確にすることを勧めたいと思います。評価する内容と質問をあらかじめ整理し、面接記録を用いた振り返りを行うなど、日常的に面接を改善できる仕組みが重要です。健康上の配慮についても、私的な情報を広く聞き出すのではなく、具体的な業務や就業上の調整に必要な情報は何かという観点から、確認する内容と方法を見直す必要があります。
一方で、企業が応募者から選ばれるためには、応募者に親しみを感じてもらい、企業や仕事への関心を高める働きかけ、いわゆる「アトラクト」も重要です。今回の分析では、自社の仕事を紹介する際に「女性の方が向いている仕事」「女性の方が優れている」と伝える発言も、「属性による決めつけ」として検知されました。 一見すると肯定的なアピールであっても、応募者個人の経験や能力ではなく、性別に関する固定的なイメージを当てはめていないか、注意が必要です。
応募者に自社の魅力を伝える際には、性別などの属性から適性を想定するのではなく、本人が語った経験や関心に沿って、自社の仕事との接点を伝えていくことが大切だと思います。たとえば、これまでに力を入れてきたことや、今後取り組んでみたいことを聞き、自社にはそれらを生かせるどのような仕事や機会があるのかを紹介する。職場の雰囲気についても、そこで働く人の属性でひとくくりにするのではなく、仕事の進め方や日々の具体的なエピソードを交えて伝えることができるでしょう。
今回の結果を、避けるべき発言の確認だけでなく、応募者への理解を深める質問や、自社の魅力の伝え方を振り返る材料としても活用していただければと思います。
岩本 慧悟
株式会社ZENKIGEN 主任研究員/神戸大学大学院経営学研究科エントリー・マネジメント研究教育センター 客員准教授
新卒で、ディップ株式会社にデータアナリストとして入社。ピープルアナリティクスの推進や、営業行動データ解析、マーケティング調査等を担当。その後、同社に勤務しながら、東洋大学大学院社会学研究科に進学し、博士前期課程・後期課程で社会心理学を専攻。パーソル総合研究所やカオナビHRテクノロジー総研の研究員を経て、2021年から株式会社ZENKIGENにて現職。採用面接や職場でのコミュニケーションに関する研究を行なっている。2025年7月から神戸大学客員准教授。専門は社会心理学、組織行動論。
■調査概要
調査名称:採用面接における就活ハラスメントの実態調査2026
調査目的:採用面接の中で「就活ハラスメント」がどの程度、どのように生じているのかを明らかにすること
解析対象:採用DXサービス「harutaka(ハルタカ)」において、2021年4月1日〜2026年8月24日までの間に実施されたオンライン面接の録画データから年度別に業界を考慮した上でランダム抽出された16,337件。
(年度別の解析対象件数)
2021年度 2,230件
2022年度 2,801件
2023年度 2,852件
2024年度 2,857件
2025年度 2,820件
2026年度 2,777件
(業界別の解析対象件数)
建設業 1,176
製造業 1,191
情報通信業 1,195
運輸業、郵便業 1,200
卸売業、小売業 1,190
金融業、保険業 1,118
不動産業、物品賃貸業 1,193
学術研究、専門・技術サービス業 1,189
宿泊業、飲食サービス業 1,194
生活関連サービス業、娯楽業 981
教育、学習支援業 1,192
医療、福祉 810
複合サービス事業 437
サービス業(他に分類されないもの) 1,193
公務(他に分類されるものを除く) 1,078
*企業と応募者の双方から研究目的での解析についての許諾が得られた面接のみを解析対象としている。
*業界バランスを考慮した上でランダムサンプリングをして解析対象としている。
実施主体:株式会社ZENKIGEN
※本調査を引用いただく際は、出所として「ZENKIGEN」と明記してください。
■就活ハラスメント対策サービス「harutaka セーフティ」について
「harutaka セーフティ」は、オンライン面接のデータをAIで解析し、ハラスメントにつながるリスクのある発言を自動で検知するサービスです。面接官の言動を可視化し、フィードバックを行うことで、リスクの早期発見と、面接の振り返りおよび改善を支援します。
https://harutaka.jp/safety
また、企業の就活ハラスメント対策を認定する「就活ハラスメント対策企業認定制度」を運営しております。方針の策定、予防の仕組み、モニタリング体制の観点から防止体制を確認し、基準を満たした企業に認定マークを提供するものです。認定マークは採用サイトや説明会資料等へ掲載いただけるため、自社の真摯な取り組みを応募者へ明確に示すことができ、採用における信頼性の向上につながります。
https://harutaka.jp/shuhara-taisaku-nintei
採用現場での対策に役立つ資料として、ホワイトペーパー「企業と学生を守る!就活ハラスメント対策ガイド」を公開しております。就活ハラスメントの実態や企業にとってのリスクに加え、面接官教育や予防のための仕組みづくりのポイントを解説しております。自社の採用活動を振り返り、対策をご検討いただく際にご活用ください。
https://harutaka.jp/document/recruitment-harassment-countermeasures-guide
10月21日(水)には、セミナー「就ハラ対策が、28卒採用の成否を分ける– 採用設計の再構築!AI時代に学生視点でつくる候補者体験 –」を実施いたします。外部の専門家や神戸大学キャリアセンター様、ビズリーチ・キャンパス様をゲストにお迎えし、データに基づくハラスメント実態と、現場で実践できる取り組みについて詳しく解説・議論します。
日時:2026年10月21日(水)14:00〜16:00(受付開始 13:30〜)
会場:東京虎ノ門グローバルスクエアコンファレンス(オフライン開催)
参加費:無料
定員:70名(先着順)
主催:株式会社ZENKIGEN(協力:神戸大学、株式会社ビズリーチ)
https://harutaka.jp/seminar/20261021_seminar
■採用DXサービス「harutaka(ハルタカ)」について
「harutaka」は、「採用戦略」から「選考」、そして「振り返り」まで、採用プロセス全体の最適化を実現する採用DXサービスです。AIを活用したWeb面接・録画選考・AI面接や、面接解析、ハラスメント予防機能などを通じ、採用にまつわるデータをAIで多角的に分析・活用することで、採用担当者が「人」と向き合う本質的な業務に集中できる環境を創出し、公平な選考と採用の質向上に貢献します。
https://harutaka.jp/
■株式会社ZENKIGENについて
「テクノロジーを通じて人と企業が全機現できる社会の創出に貢献する」というビジョンのもと、2017年10月に創業。AIテックカンパニーとして、独自開発のAIモデルや生成AI・LLMを活用し、採用プロセス全体の最適化を実現する採用DXサービス「harutaka(ハルタカ)」を提供。採用の戦略立案から振り返りまでをトータルソリューションで提供し、1,000社以上の導入実績、約1,500万件(2025年5月時点)の動画データを保有する。また、「採用学」の先駆者である神戸大学 服部泰宏教授との共同研究を通じて、面接における定量・定性データを組み合わせ、抜本的な人事DXにも取り組む。
会社概要
会社名:株式会社ZENKIGEN(ゼンキゲン)https://zenkigen.co.jp/
代表者:野澤比日樹
所在地:東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー 21F
設立:2017年10月
事業内容:
・採用DXサービス「harutaka(ハルタカ)」の企画・開発
・パートナーとの共同研究機関「ZENKIGEN Lab(ゼンキゲンラボ)」の運営
◆プレスリリースはこちら
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000144.000035867.html
ZENKIGENは今後も、採用領域における研究・実践の知見を社会に還元してまいります。
登壇・寄稿などのご相談は以下よりご連絡ください。
お問い合わせフォーム:https://zenkigen.co.jp/contact/
今後とも、ZENKIGENとharutakaをよろしくお願いいたします。